転勤

仕事場が変わることになった。単なる定期異動で、特にどうということもないが、引っ越し荷物の整理がめんどうだ。アメリカ映画を見ていると、退職するときでも両手に抱えられるくらいの段ボール箱ひとつに写真立てやトロフィーなんかをぶち込んで、あっさりオフィスを出る。あれがめちゃクールでカッコイイ。

今回はできるだけクールにと思って、段ボール箱を二つだけ用意してみたが、やっぱり無理。とても二つでは入りきらない。どうしてこんなに書類の束がたまるのか。ほとんど捨ててごみに出したけど、あと一箱分は持ち帰ることになりそうだ。

今年の送別会は自分が送られる方になるわけだけど、会場が駅近くにあるシティホテルらしい。昔の結婚式披露宴会場のようなパールホワイトのビニール椅子かと思うとげんなりする。しかも、照明はたしか蛍光灯だ。料理の色が冴えないから、蛍光灯は嫌いだ。自分が幹事の時は、市内でも指折りの料亭でやったものだが…。残念。

まあ、あまり思い入れはないから、あっさりやってもらうのはかまわないけど、椅子とテーブルでは席を自由に立つことができない。送別会の意味が分かっているのだろうか。漱石の『坊ちゃん』以来、送別会とは送られる人間をダシにして自分たちが騒ぐ会と、この国では受けとめられているのだろう。

残務整理があと少し残っている。それがかたづいたらどこかに旅行でもしたいところだ。一昔前は転勤にともなって休暇が認められていたものだが、昨今ではそんな悠長なことはどこも言ってられないので、今の職場を出た次の日には新しい職場に行かなければならない。気ぜわしくなったものだ。
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# by abraxasm | 2007-03-26 18:11 | 日記

紅梅

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奈良・月ヶ瀬梅渓
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# by abraxasm | 2007-03-04 20:54

マスク

外に出る用事があったので、マスクをし、帽子を被って出ようとしたところへ出入りの業者が入ってきた。不思議なものでも見るように
「花粉症ですか?」と訊く。
「見ればわかるように、花粉症です。おかしいですか?」
と言うと、くすっと笑いながら、
「あまり、似合いませんね。」ときた。
つい先日も別のところで、久しぶりに出会った知人にマスク姿を見とがめられ、花粉症だと説明すると「意外だわぁ。」と言われた。

いったい、私が花粉症だと何が可笑しいのだろうか。
近頃花粉症なんぞは、横丁の熊さん、八つあんでもかかる病気である。
いや、もしかしたら熊公やハチ公はかからないのかもしれない。ひょっとしたら熊か八の親類だと思われているのかも。

いつもわりと元気にしているので、身心ともに健やかだと思われているのならかまわないのだ。しかし、人並みの流行病なんぞには縁のない人種だと思われているような反応が気にかかる。誤解のないように言っておくが、ごくごく普通の男である。風邪もひけば花粉症にもかかる。
もっとも花粉症から逃れられるなら、少々変わった男だと見られてもかまわない。
つばのある帽子にマスクというのは、どう見てもお洒落ではない。これでサングラスをかけたら、立派な不審者である。

欧米ではマスクをしてると奇異な眼で見られるという。
日本でもマスクをしていると奇異な眼で見られる人もいるということなのだろうか。
なんとなく割り切れない思いが残る。
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# by abraxasm | 2007-02-27 22:48 | 日記

花粉症

日が長くなってきた。帰宅してもまだ日が沈んでいない日もある。
一日ひとりぼっちでいるニケは、私が帰ると玄関で待ってて、入れちがいに外に出てくる。
アプローチの磁器タイルの上で体を反転したり、犬走り(猫走り)を端から端まで一往復したりという日課の運動をしないと中に入ってくれない。
長毛種のニケの毛に、降り積もった花粉が付着するのは当然のことだ。
その体で布団の中に入ってくるのだから、花粉症の症状がよくなるはずがない。
昨日ついに医者に行き、薬を処方してもらってきた。
この時期、耳鼻咽喉科は患者が待合室からはみ出す盛況ぶりだが、近くの内科は患者が誰もいなかった。インフルエンザも流行っていると聞くが、いつ行ってみても閑散としている。まあ、それがこっちの付け目なのだが。
受付もよくしたもので、「今日は風邪で?」と訊く。
「いえ、花粉症だと思うのですが」と、自分で診断を下す。
診察室に入ると、口の中をのぞきながら医者が言った。
「花粉症としか考えられないですね。一昨年と同じ薬でいいですか?」
処方もこちらまかせである。「それでお願いします。」と、この間十分ばかり。
下の調剤薬局も先客なしですぐに薬が出た。
有り難いことだが、これでやっていけるのだから医者や薬屋はたいしたものだとあきれる。
なるほど医学部や薬学部を目指す学生が絶えないわけだ。
今日の新聞を読むと、教員養成系の大学は志望者が大幅に減っているらしい。
親からの突き上げは多いし、マスコミにはたたかれるし、免許も更新制になるらしいから、若者も考えるだろう。
もらった薬は眠くなるばかりで、なかなか効いてこない。症状が悪化するまでに呑んでおくのがほんとうなのだろう。鼻水が喉の奥に流れ込んできて咳き込むまで放っておいたこちらが悪いくせに、医者や薬屋をうらみたくなるのは、逆恨みというものだろう。
しかし、原因が分かっているのに対症療法すらとらない政府や自治体に責任はないのだろうか。
「風が吹いて薬屋がもうかる」などというのは、洒落にもならない話である。
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# by abraxasm | 2007-02-20 17:26 | 日記

和歌山別街道

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連休三日目は近場の温泉でリラックスすることにした。
今回は道の駅飯高にある日帰り温泉。さらっとした泉質は少し物足りない気もするが、
林業の村らしく木材をふんだんに使った木組みの天井から降りそそぐ日の光が開放感たっぷりで何より気が休まる。

いい天気で、お湯の上に日がちらちらと浮かぶのが眩しいほどだった。昼日中から湯につかっているのは、なんとなく悪いことをしているようで落ち着かないのだが、逆にそれが至上の愉悦のような気もして堪えられない。

たっぷり湯につかった後は田舎道のドライブが待っているはずだったが、前を行く車のあまりの遅さに抜け道を試みたのが悪かった。「和歌山別街道」という旧街道に入りこみ、狭い道を徐行運転することになってしまった。しかし、さすがに旧街道。昔ながらの虫籠窓を残す民家もちらほら見ることができ、まるで時代劇のオープンセットの中に迷い込んでしまったような不思議な気分になった。こんな寄り道ならまたしてみたいものだと思った。
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# by abraxasm | 2007-02-12 23:10 | 日記

トラブル

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さるびの温泉からの帰り道、雪道にわだちができていた。たいした雪でもないのに、車体の下で変な音がした。前をこすったかな、と思ったのだが、かえってきてから見てもそんな様子はなかった。

日曜日に洗車した際、あらためて下を見たら、ボディの下部を被っているプラスティックのカバー状のものが垂れ下がっているのに気がついた。どうやらこれがこすったらしい。あわてて電話して近くの関連会社で見てもらった。

誰もいないショールームで待つことしばし、しばらくすると担当者が「ネジが抜けてました。別のネジで締めておいたので、これで大丈夫だと思います。何か、拾いましたか?」といった。特に覚えはないが、何度か変な音がしたのは、このせいだったのかと、気がつくことはあった。早く気がついてよかった。
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# by abraxasm | 2007-02-04 23:26 | 日記

菜の花畑

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新聞に隣町にある農園の菜の花畑が見頃、と出ていたので、さっそく出かけてみた。
遅い昼食をとろうと、農園にほど近いイタリア料理店を目指したのだったが…。
なんとしたことか、どこまで行ってものろのろ運転の列が続くばかり。
店に着いたときは午後三時を回っていた。
ランチタイムの制限がなかったのが不幸中の幸い。
茄子とベーコンにトマトソースのパスタ、ピッツァ・マルゲリータという定番を注文した。
ペペロンチーノを利かしたトマトソースは絶妙で、たまにはちがったパスタも食べたいのだが、いつもこれになってしまう。そういうと、小粋なギャルソンが、
「皆さん、そうおっしゃいますね」と、相づちをうつのだった。

公園のように整備された農園は、鴨の遊ぶ池や蜜蜂を放す花畑が点在し、かなり広い。
目指す菜の花畑は池を回った向こう側にあった。
すでに日は山の端に傾き、「菜の花畑に入り日薄れ」という歌の文句そのままの光景。
しかし、乏しい光量で、菜の花の黄色が今ひとつ美しく出ない。
とにかく撮影して、後は園内を散歩した。池をめぐる回遊路に三脚を構えた先輩がいた。
落日を映す鴨池の撮影らしい。邪魔をしないように離れたところで、こちらも一枚撮った。
暗い中、オートで撮ったから、カメラの方が自動的にISO400に指定していた。
画像を再生してみると、肌理の粗い画像になっていた。
おまけに、圧縮をかけたのでせっかくの菜の花がつぶれたようになってしまった。
カメラの機能を撮影者が使い切れていない。
少しずつ慣れていくよりないのだろう。
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# by abraxasm | 2007-01-28 09:43 | 日記

荒野の決闘

e0110713_1742354.jpg画面のずっと遠く、一点透視図法の消失点にあるのがモニュメンタル・バレーの奇岩だ。空はあくまでも広く、シルバーライニングを施されたちぎれ雲が浮かんでいる。寂寥感が胸に浸みる。
何度も見てきたはずだが、デジタル映像技術の進化か、こんなに美しい風景だったとは気づかなかった。画面のコントラストは、ハイキー気味で、その乾いた印象が荒野にぽつんと取り残されたようなトゥームストーン(墓石)という名の町に似つかわしい。
西部劇の古典的名作という触れ込みと邦題の影響で、決闘を主題とした典型的西部劇と思い込んでいたが、あらためて見てみると印象がちがう。
画面の上では復讐劇にありがちな怒りや怨みなどというギラギラした激情とはうらはらな平和な日常風景が描かれている。弟を殺された兄たちがよく飲み食いするシーンはどうだ。長兄のワイアットときた日にはポーカーに夢中である。
ドク・ホリディという気心の知れた友人もでき、日は何事もなく過ぎていく。
そんなところへドクの許嫁クレメンタイン嬢が現れる。ストーリーが動き出すのはここからだ。何と、ワイアットが恋に墜ちる。床屋で髪と髭を整え、おまけにハニー・サックル・ローズ(忍冬)の甘い香りの香水まで。
長身のヘンリー・フォンダの長い脚を効果的に使った、柱に足をかけて椅子を揺らせるシーンや教会建築を祝うダンス会場でのユーモラスなダンスシーンは忘れがたい印象を残す。
牛追い稼業のアープが東部のインテリ医師ホリディの教養に舌を巻くシーン。なんとドクは科白を忘れた旅役者に替わり『ハムレット』の長科白を暗唱してみせるのだ。朗誦の途中で喀血することで、東部の名外科医がなぜ西部でガンマンをやっているのかが分かる仕掛けになっている。理由も知らせずにクレメンタインを追い返すドクは「尼寺へ行け」とオフィーリアを去らせるハムレットに姿をダブらせている。
ワイアットがクレメンタインにキスをしたかしないかが話題になるラスト・シーンだが、ちゃんとしている。試写では握手だけの版だったのが、論争の原因だったようだ。
原題である『愛しのクレメンタイン』の曲が遠ざかるワイアットの馬上の姿にかぶさって見送るクレメンタインとの再会を祝福するように鳴り響いてエンドマーク。
ドクを追いかけるワイアットの馬による追跡シーンの疾走感は、今のカーチェイスなど色を失うような迫力に満ちている。決闘シーンのスピーディーな展開も緊張感が漲っている。悲運なドクと喜劇的なまでに幸福感に酔うワイアットとの対比と、最後までだれることなく物語を進めていく演出のテンポが心地よい。詩情に満ちたキャメラワーク、ウィットに富んだ脚本と、名作と謳われるに相応しい映画である。
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# by abraxasm | 2007-01-13 17:24 | 映画評

風の影

e0110713_23311652.jpg「忘れられた本の墓場」で見つけた世界に一冊しか残っていない本にまつわる謎という紹介文にひかれて読み始めたのだが…。
主人公が十歳の少年というので、児童文学かと思って読みはじめると、開幕早々にキスシーンが現れ、その後も性的な仄めかしやら、くすぐりが結構出てくる。今頃の子どもはこれくらいでは驚かないだろうとは思いつつも、違和感が残る。
そこで、ああこれは大人向きのミステリなんだ、と納得したのだったが…。
それにしては、出てくる人物が、あまりにも類型化されていて、悪役は徹底的に悪く描かれ、主人公を助けるワトソン役はどこまでも善人として描かれているのに少し鼻じらむ思いが残った。
呪われた館やら塗り込められた部屋の中に隠された棺やらという、ポオやゴシック・ロマンを思わせる設定には事欠かないのだが、1945年という時代設定にやや無理があるのか、スペイン内戦というあまりにもリアルな背景が邪魔して、雰囲気の中に入り込めない。
ここは、もっと整理して、社会派でいくか幻想小説派でいくかしぼってもらった方が読者としては有り難かった。
『風の影』という本を書いた作家フリアン・カラックスと主人公のダニエルが二重写しになって奇妙に交錯する運命を辿るという設定は面白いのだが、歌舞伎の花川戸助六、実は曽我の吾郎というのと同じで、あまりにも御都合主義的な人物相互の関係がスペイン内戦という深刻な背景と齟齬をきたしている。
世界中でベストセラーになっているというのだから、それなりに面白いにはちがいないのだろうが、オペラ座の怪人風の登場人物といい、サービス過剰で、せっかくの素材を充分に活かしきれなかったのではないか。
バルセロナの地下にある「忘れられた本の墓場」という迷宮めいたイメージだけはすてがたいものがあるだけに惜しい気がする。『ダヴィンチ・コード』ファンにはお勧めかも知れない。
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# by abraxasm | 2007-01-09 23:02 | 書評

引っ越しました。

以前のBLOGがあんまり重く、なかなか開かないのに業を煮やしてました。
そんなこんなで更新が滞ってたら、トラックバックにスパムメールが大量に送られ、
毎日、削除に追われました。
年もあらたまったのを機会に、marginaliaを引っ越すことにしました。
とにかく軽いところを探してここにたどりつきました。
2006年までの分は、当面、以前のところに置いておきます。
2007年からは、こちらに引っ越したいと思います。
蕎麦は出せませんが、これからよろしくお願いします。
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# by abraxasm | 2007-01-09 20:13

覚え書き


by abraxasm