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阿曽温泉

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土曜日は出勤だったので、大型連休初日は日曜日からということになる。
前日めずらしく飲み会に誘われたこともあって、朝はゆっくり起きた。東の窓の遮光カーテン越しに強い光が差し込んで、連休初日が快晴であることを知る。
珈琲を淹れて、髭を剃り、クロワッサンをかじっていると、妻が起きてきた。ゆっくり珈琲を飲みながら新聞を読み、久しぶりの休日気分に耽る。なにしろ、職場が変わったこともあって、四月の忙しさといったらなかった。ようやく、ひと月が過ぎ、職場の様子も飲み込めてきた。以前の職場と比べ、皆忙しそうに働いているので、さすがにひとり怠けているわけにもいかず、珈琲を飲む間もなく働いていたら自分のペースを見失いかけていた。ここらで一息入れなければならないところだ。

朝から洗車して147をピカピカに磨き上げた。北に走る道は幹線道路につながるため、この時期は混雑する。そんなわけで、GW恒例の南コース。日本の道百選に選ばれた南島線を走って紀伊長島まで。目指すは道の駅「マンボウ」の真鯛のあぶり焼き丼である。

桜の季節ならオープンで走りたい道だが、シャツ一枚でも汗ばむ強い陽差し。エアコンを効かせた147の窓越しに映る新緑は、天麩羅にして食べたいような薄緑の若芽が眼に眩しい。連休を海岸でキャンプしようというのか、横浜から来たキャンピング・カーがのんびり前を走る。無理はしないで着いていったら道を譲ってくれた。

海岸線に沿って延びる九十九折りの坂道から、青空を溶かし込んだような紺碧の海が見える。思惑どおり誰も走らない道を快適に走って紀伊長島に到着。ちょうど昼食時分で心配したが、運良く駐車でき、座席も空いていた。お目当ての真鯛のあぶり焼き丼の食券を買って待つことしばし。運ばれてきた丼を見ると、刺身と焼き魚の中間ほどの白さにあぶられた鯛の切り身が七、八切れ、細切りの海苔を散らした酢飯の上にのって出てきた。山葵醤油に浸して酢飯と一緒に頬張ると、淡泊と思いきや絶妙にあぶられた鯛ならではの旨味が口いっぱいに広がる。ゆっくりと味わうつもりがあっという間に平らげてしまった。あおさ入りの味噌汁と沢庵が付いて800円。これはお値打ちである。

さて、食事をすませるとすることがなくなってしまった。店の前にある熊野灘臨海公園で、一休みしたあと、古里温泉を探しに車を出した。看板どおりに走って着いたところが古里海岸。海水浴にはまだ早い砂浜にはキャンプの支度をしている車が一台停まっているばかり。近くにあった看板には目指す古里温泉を示す矢印があるのだが、よく見ると物置に立てかけてあるだけで、肝心の方角が分からない。海辺の集落だけに道は狭く、どこに続いているかも分からない。今回はパスして、42号線に戻った。

帰りは荷坂峠を越えるルートを取り、八べえさんお薦めの阿曽温泉に寄ってみることにした。阿曽にはいるとそれはすぐ見つかった。廃校になった小学校の木造校舎を再利用したとかで、内部は新しく改装されていたが、兵舎を思わせる素っ気ない造りが昔の小学校の面影を残している。用意していなかったので、タオルを買って入った。

温泉といっても、もとが教室だった訳だから、そんなに広くはない。浴槽は一つきりで洗い場もわずかである。露天があるわけでなし、最近の日帰り温泉の至れり尽くせりぶりから見れば愛想のない造りといえる。それでも、浴槽の前には小学校につき物の桜の木が若葉をつけ、垣根越しに田植え前の水を張った田圃が広がる長閑な風景は、なるほどのんびりしている。限られた人数しか入れないから、浴室内も静かで気が休まることはこの上なし。八べえさんが気に入ったわけも分かるような気がする。桜の時分だったら、湯に浸かったまま花見ができるわけだ。来年の四月にはまた来ようと思った。

保湿クリームを持たずに温泉に入った妻のために、道の駅に隣接するスーパーでクリームを買ったついでに、切らしていたワインも調達し、帰り道を急いだ。丸太小屋を作っていた頃は毎週通った道だが、久しぶりに走るとなんだか懐かしい。花粉の季節もそろそろ終わりだ。テラスで珈琲が飲みたいというリクエストもあることだし、たまには風を入れに行かないといけないな、と思いながらハンドルを握っていた。
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by abraxasm | 2007-04-29 17:58 | 日帰り温泉

私のハードボイルド

e0110713_19305157.jpg「固茹で玉子の戦後史」の副題を持つ小鷹信光氏の新刊書である。「ハードボイルド」という言葉が、この国にどのように受容されるようになったか、を自分の半生とからめながら書ききった労作と言えるだろう。

ハメットの翻訳家としても知られる氏は資料収集マニアとしても知られ、ハメットやチャンドラーを輩出した伝説の雑誌「ブラックマスク」をはじめとする推理小説関連の資料や映画関係の資料、アメリカ語についての資料などを多く所有している。それらの資料の山の中から、これと思った記述を豊富に引用しながら、ハードボイルドと呼ばれる小説の変遷を物語るのだから、面白くない訳がない。

片岡義男や田中小実昌との交遊や大先輩である双葉十三郎のインタビューもまじえ、日本の推理小説の中に新しく入ってきたハードボイルドの波が、江戸川乱歩などからは疎んじられながら(チャンドラーの文章力は認めていたが)、次第にひとつの流派を形成するようになりながらも、ハメット、チャンドラー、ロス・マクドナルドをついに越えられず、やがて衰退していった歴史が、その渦中にいた者だけが持つことのできる熱い視線で語り尽くされている。

小鷹氏自身が命名者であったネオ・ハードボイルドと呼ばれる流派がネオであるが故に(マーガリンと同じで)本物とは及びもつかない出来と評されたり、およそこの国ではひとつの流派が登場すると、変化を求める者と頑なにそれを信奉する人々との間に軋轢が生じる。その間の事情も客観的に論評している様子に好感が持てる。

村上春樹が、かなり以前から『長いお別れ』を読み返しており、単なるハードボイルド小説としてではなく、都市小説としてとらえているという指摘は新鮮だった。そういう視点からの今回のや翻訳であったのかと合点がいった次第だ。清水訳の欠落箇所についての指摘は随分以前からなされていたこともよく分かった。

マーロウの名科白である「さよならを言うのはわずかの間死ぬことだ(清水訳)」を、村上春樹は「さよならを言うのは少しだけ死ぬことだ」と訳しており、こちらの方が正解だと小鷹氏は言う。本書が書かれた時点では村上訳はまだ世に出ていないが、氏がそれにかなり期待していたことがよく分かる。

大沢在昌や矢作俊彦の名前も出てくるが日本のハードボイルドについてはあっさりと触れている感じがする。同期であった大藪春彦の学生としてのデビューについては、かなり刺激を受けたようだが。

ハードボイルドがアメリカのスラングなどではなく、標準英語としてちゃんと辞書に出ていたことをはじめて知った。また、実に様々な意味を持っていることも。ヘミングウェイ自身がハードボイルドという言葉を文中に使用していることも、様々な訳者の競作で採り上げられている。一翻訳者の自伝でもあり、ハードボイルド小説論としても読める。ハードボイルドファンには必携の一冊。
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by abraxasm | 2007-04-14 19:22 | 書評

休肝日

どこかの学者が研究したところによると、毎日酒を飲み続けている人の死亡率は、そうでない人の1.5倍から1.8倍にあたるという結果が出たそうだ。酒を飲んで死期が早まるのは覚悟してはいたが、癌による死亡率となると、ちょっと考えてしまう。父も兄も癌で死んだ。二人とも酒好きで、きっと休肝日なんかとっていなかっただろう。

命が惜しくなったわけではない(正直なところ、ちょっとは惜しい)が、そうそう癌にやられるのも片腹痛い。晩酌をはじめてから、酒を飲まなかったのは咽頭炎で入院した一週間だけだったから今さら遅いとも思うが、ものは試しで、金曜日は一日飲まなかった。これだけ飲み続けていると、酒を飲まないと眠れないものだが、そこはよくしたもので、花粉症の薬のせいで酒がなくても結構眠れるのだ。

こんなことなら、毎日抜いてもいいと思ったのだが、妻が白磁のぐい飲みを手に入れたばかりで、どうにも飲みたいらしく、ついお相伴にあずかってしまった。それでも、ナイトキャップはがまんしたので、正一合くらいか。これなら飲んだうちには入らない。

朝の目覚めもすっきりするし、ものごとにやる気が出るのには驚いた。お客さんが来るので荷物を放り込んだままの部屋を掃除し、使っていない二人の息子のベッドを二段に戻し、空いたスペースにソファベッドを入れた。下の息子が帰ってきたら、これで寝てもいいし、上の部屋の二段ベッドを使ってもいい。たまった綿埃も掃除機で吸いとったので、気分がすっきりした。

外山滋彦が書いていたが、人の脳は目覚めの前の半覚半睡時に発想がひらめくことが多いという。酒を抜いてみると、たしかにそうで、その日の一日の仕事を考えるでもなく考えているうちにいくつかのアイデアを得た。そういえば、以前はこんなこともあったのを思い出した。花粉症の季節が過ぎ、薬がきれても眠れるなら、酒の量はずいぶん減らせるのではないだろうか。

しかし、死亡率が下がることより、仕事の作業能率の上がる方がうれしいというのでは、アルクホリックより、ワーカホリックの心配をした方がいいのかもしれない。なんだかだといっても、結局自分もまた働き過ぎの日本人なのだ、と思ったことであった。
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by abraxasm | 2007-04-10 18:22 | 日記

三国越林道

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いい天気になったので走ってきました。三国越林道。
滋賀、京都、三重の三国の境界を越えるのでこう呼ばれているのでしょうか。
たしかに林道の道端には桜並木が連なり、伸びた枝がトンネルをつくっていました。
ただ、麓の桜は満開なのに、林道の桜はまだ咲き始めたばかり。
あと一週間もしたら、満開になるのではと思います。
展望台まで上ってから、来た道を引き返し、信楽にある美術館を訪ねました。
三国越林道の桜は、少し早すぎましたが、沿道の桜は今が満開で日本の山里の春を満喫することができました。
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by abraxasm | 2007-04-08 19:09

五十鈴川の桜

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遠出をしようと思っていたところへぽつりぽつりと雨が…。
近くの桜に河岸を代えて、花見客見物に出かけました。
宮川河畔の桜の方が有名ですが、借景に恵まれているのはこちらの方かも。
背後に見えているのがスカイラインの通っている朝熊山です。
この間知人に聞いた話ですが、有名なソメイヨシノは交配種であるため、そろそろ種としての寿命が尽きてきているとか。
そうなれば、日本各地の桜の名所からいっせいに桜の花が消えるのでしょうか。
久しぶりに洗車したと思ったらあいにくの雨。明日は晴れたら三国越林道に桜見物に出かけようと思っています。
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by abraxasm | 2007-04-07 19:20

覚え書き


by abraxasm