鳥を探しに

詩人の平出隆の二作目の小説。二冊目にしてこれか、と思えるほどの堂々たる大作。厚さ約5センチ。二段組み659頁という造本は、まるで辞典サイズ。詩人のこの作品にかける思いが伝わってくる。もともとは「小説推理」に2004年の暮れから2008年の夏まで連載していたものである。

平出隆の名は、堀江敏幸の作品の中で言及されていたと記憶している。『葉書でドナルド・エヴァンズに』だったろうか、あまりはっきり覚えていない。それなのに、この分厚い作品を手にとろうと思ったのは、何かしら惹かれるところがあったのだろう。

自装の表紙に惹句めいた短文が書かれている。「孤独な自然観察者にして翻訳者でもあった男の/遺画稿と遺品の中から/大いなる誘いの声を聴き取りながら育った私は/いつからか、多くの《祖父たち》と出会う探索の旅程にあることに気づく。/絶滅したとされる幻の鳥を求めるように/朝鮮海峡からベルリンへ、南北極地圏の自然へ、そして未知なる故郷へ。/はるかな地平とささやかな呼吸を組み合わせ、/死者たちの語りと連携しながら、数々の時空の断層を踏破する/類ない手法―コラージュによる長篇 Ich-Roman」

すべてはここに語り尽くされている。これはそのような作品である。
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by abraxasm | 2010-04-12 21:07 | 書評

覚え書き


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